自分だけのマイカーを手に入れて、1番お手軽にできるカスタムと言えばシフトノブの交換だろう。マニュアル車だけでなく一部のオートマ車でも変更できる車種もあり、交換も簡単、安くて、カー用品はおろかホムセンで買えるほど手に入りやすく、そして何より”交換した実感が得やすい”のが多くのユーザーがシフトノブを変える理由だと思う。

かくいう筆者もこれまでのマイカーすべてでシフトノブを交換しており、さまざまな形状や素材のものを経験してきたが、ネットの先人たちの意見は「重い方がいい」「いや軽い方がいい」「横から握るなら樽型が…」「全長が短くないとシフトストロークがうんちゃらかんちゃら…」などなど意見がバラバラ。なかなか参考にする基準が見つからないし自身の価値観も定まらないでいた。

そこで今回は筆者が自分なりに導き出した「シフトノブの理想の条件」について述べていきたいと思う。これからシフトノブを交換したい人、シフトノブ選びの迷子になっている人の参考になれば幸いです。
シフトノブ|筆者の最適解はジュラコン+球形状
まず筆者にとってのベストを結論から言っておくと、1番好みだった素材は「ジュラコン」そして形状は「ボール形状」だ。

まずひとつ、ジュラコンは夏場に熱くなり過ぎることもなく、シフトノブ表面の肌さわりも柔らかい。
ふたつ、ボール形状はどの角度で手に触れても(何速に入れていても)ソフトな当たり心地となる。
この二つの理由がいま筆者がジュラコン素材のボール形状シフトノブを使う理由だ。この理由に至った経緯を素材別、形状別、重量別で紹介していくので最後までお付き合い願いたい。
シフトノブ|素材別_触り心地の良し悪し
この章ではシフトノブの「素材による触り心地」について述べたい。
シフトノブの素材はとても幅広く、かつ中身と表面が異なる素材を使っている場合もあるため、あくまで手に当たるときの質感判断と思ってほしい。
今回触れる素材は「アルミ」「チタン」「ステンレス」「本革・合皮」「ウレタン」「ジュラコン」だ。
アルミ、チタン、ステンレス
これらの金属の触り心地は表面加工の違いで異なるのでまとめて述べておく。
まず素材削りだしそのままに近いタイプ。薄く塗装はされているだろう。CL7純正を含めたホンダ純正のシフトノブがこれに該当する。

悪くはないが特段優れている感じもしない。明確なデメリットを感じたのは「ヘアライン仕上げ」の表面には汚れが定着しやすく、くすんだ見た目になってしまうということ。どちらかというとSeekerのように塗装があって鏡面仕上げになっている方が肌さわりも汚れの落としやすさもよく好印象だった。

本革・合皮・ウレタン
ホンダ純正タイプで使用したが、どれも表面にわずかな弾力があるタイプが多い。

一般的にソファーなどの家具では本革が最上級の素材であり、「肌さわり」「耐久性」「吸放湿性」もこの3つのなかで1番優れている。シフトノブに関しても同様で、特に「吸放湿性」による吸い付くような肌さわりは本革が1番好印象だった。
合皮(いわゆるPVC)はビニール素材を感じさせる手汗での滑りがあり、シフトノブという操作する道具とは相性が良くないと思った。ウレタンもチープなウレタン成型の純正シフトノブなら手汗で滑る危うさは同じくだが、NISMOなどの社外品は弾力と肌さわりの良さをもたせた作りになっていて、まったくの別物だと思った方がいい。
ジュラコン
きめ細かな樹脂成型だけあって、とても滑らかな肌さわりだ。

きめ細かな表面=塗装が乗りにくい、ということもあり、カラーは樹脂成型の段階で決まっていることが多い。そのためシンプルなホワイトやブラックのカラーになりがち。
日本人に馴染み深いリコーダーなんかによく使われる素材だけあって、触れているときの感触は好印象。水分による変質もないため手汗でべとついたりもせず、布で拭き取れば簡単にキレイになるのも便利である。
シフトノブ|素材別_温度変化
続いての章ではシフトノブの「温度変化」についてだ。お察しの方もいるだろうが、真夏と真冬の環境下でのシフトノブの使い勝手について検証したものだ。素材別の熱伝導率と筆者なりのレビューを交えながら述べていく。

表に記載の通りアルミニウムは熱伝導率が高い金属素材であり、夏は車内にこもる熱が伝わりやすく触れないぐらい熱々になってしまい、冬はキンキンに冷えてしまい霜が付くこともあるぐらい冷たくなってしまう。どう考えても日本の気候に向いていないように思う。
その点ステンレスやチタンはアルミニウムの1/10程度の熱伝導率でしかないため、真夏であっても「あれ?思ったより熱くないな?」と感じるレベル。だがそれでも気温35℃を超えるような猛暑日はシフトノブを握りつづけるのがしんどい熱さになってしまうので、根本的な解決にはなっていないと言える。
次にウレタン樹脂で成型した純正シフトノブ(軽トラなんかについてくるタイプ)やプラスチック系樹脂の表面に合皮を貼ったタイプは夏冬問わず表面温度が問題になることはないだろう。ただしそういったタイプで見た目がよくて、ドライバーに高揚感をもたらしてくれるデザインのものが少ないのが難点。

その点ジュラコンは夏も冬も温度はまったく問題なし。さらにSPOONやmonster sportsなどのアフターパーツメーカーも採用している素材であり、それなりにビジュアルの整っているもの、平たくいえばカッコいいと思わせてくれるものがチラホラ存在する。ホンダ乗りとしていつかはSPOONのものも試してみたい。
筆者がヤフオクで仕入れたジュラコンシフトノブは尖ったデザインとは言い辛いが、インテリアとの統一感込みで問題なく思えたため使っている次第。
シフトノブ|形状別の使い勝手の違い
シフトノブは「丸い球形状」「棒のような形状」「樽のような形状」「銃のグリップのような形状」が多く、それらをベースにしながらさらに一部分をフラットにしたりカットしたりと何万通りものパターンがあることだろう。
だが全体のシルエットだけでなく、手に当たるところの形状が重要だと筆者は考えている。その理由は画像で紹介していきたい。
上から手を乗せるなら新円に近い球形状がベスト

センターコンソール(肘おき)の位置が高くなっていると、「横からシフトノブを握る」操作は逆に使いにくい。よってCL7アコードユーロRは上からシフトノブに手を乗せるわけだ。この環境下ではボールのような球形状が最も手当たりが良かった。

何故かというと、シフトノブはニュートラルの位置から1速→2速、2速→3速、と手を当てる角度を変えながらシフト操作をすることになるのが当たり前で、球形状”以外”を使うといずれかのギアチェンジ操作で「円よりも鋭い角度が手に当たる」。

極端にいえばボール型よりも手のひらが痛い。

その点球形状なら無意識にどの位置でシフトノブを握ってもOK、どのギアからギアへのシフトチェンジでもOK。街乗り+ワインディングの頻繁なシフトチェンジで1番手が痛くなかったのがこれだったわけだ。

どの場所から触っても鈍角。

ただしNSXのシフトノブのように円が小さいと当たりが強く(痛く)感じた。なんだか手のひらをツボ押ししてるような…。

クーペ系なら横から握るのも考慮していいかも

S2000、NSX(NA1,2)、RX-7(FD3S)などの後輪駆動、かつクーペデザインの車であれば、センターコンソール+シフトノブが高い位置にあり、シフトノブを横から握ることのメリットがありそうだ。

残念ながら該当する車種で運転をしたことのない筆者は、この環境下での「樽型形状を横から握る」に意見を述べることができない。いつかおもしろレンタカーで試してみた際に追記してみたい。
シフトノブ|大きさによる操作感の違い

手のひらの大きさによるだろうが、シフトノブが小さすぎると手のひらのなかで空間ができてしまって落ち着かない印象。39.8㎝のNSX、41.7cmのアコードは筆者には小さかった。何というか細くて書きにくいボールペンを握ったときの印象に近い。
逆に大きすぎると2速→3速や4速→5速のときのような”手前から奥側へ”シフトノブを動かす際に力の入れにくい指があって不便な感じだった。

ちょうどよく感じたのが44㎝のジュラコン、47㎝のSeekerだった。どのギアからギアへ移す際でも手と指にストレスを感じることがなかったのがこの2つになる。ちなみに筆者の手の大きさが写真の通り。

まさにド平均の手の大きさらしい。
シフトノブ|重量別_操作感の違い
続いてシフトノブ自体の重さ、重量だ。

過去に使用してきたすべてが測れたわけではないが、手元にあるものはすべて重量を計測して載せているので参考にしてほしい。

実はジュラコンのシフトノブを試すまでは、ヘヴィーウェイトタイプがお気に入りだったんだ。シフトノブ自体が重いこと=慣性の力が大きい、これがギアを入れるとき(押し込むとき)に人間自体の力があまり必要のない操作感につながり、シフトチェンジが楽にできるのが良い。ジュラコンを試すまではそう思っていた。

だがここで重量74.8gと最軽量のジュラコンを試したときに脳みそに電流が走る。「…シフトノブがニュートラルに戻る速度、めちゃくちゃ速くないか?」と。

そう、シフトノブ自体が軽いことにより、2速ギアを解除した瞬間にスピード特化キャラのごとく瞬足でニュートラルの位置に戻ろうとする動きになるんだ。ストⅡのバルログ、冨樫漫画の飛影・キルア、そんな印象。これがヘヴィーウェイトの「押し込む楽さ」とは別の楽さを味あわせてくれた。特に2→3速の操作って街乗りでは頻繁に行うもんだからなおさらだ。色々なタイプを試してみるもんだね。
シフトノブ|おしゃれは我慢? 自身の優先する価値観を決めよう
検証は以上である。筆者が最終的にジュラコンのボール形状に落ち着いた理由をご理解いただけただろうか。
「夏冬ともに温度変化は問題なし、大きすぎず小さすぎず、どの操作シーンでも指や手にストレスがないボール形状で、ニュートラル戻りのスピード感がギアチェンジがラクになる操作感を持っている」これが好みをまとめた表現となるだろう。
最後までご覧いただきありがとうございます。シフトノブ変更界隈の皆さんも自身の優先となる価値観を見つけ、理想のシフトノブにたどり着くことを願っています。
ジュラコン製で車メーカーごとの変換アダプター付きになっている汎用品もあるので、もし筆者に同感の方がいればぜひ試してみて欲しい。
他にもDIYにチャレンジした記事をまとめているので合わせてご覧ください。


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