エンジンをかけた瞬間。
「ドコドコドコドコドコドコ!!!!」と信じられないぐらいの振動が車体ごとドライバーの身体を揺らした。
これはつい先日仕事帰りに愛車_CL7型アコードユーロRのエンジンを掛けた瞬間に起きた出来事だ。
さらにエンジンチェックランプが点滅(≒点灯)し、なんだか普段より排気ガスが臭い、なんだか家畜の糞の臭いがしている気がする。
さらにSUBARU水平対向エンジンの不等長エキマニサウンドをいびつにパワーアップさせたようなドコドコ音と振動。

急ぎスマホで同症状を検索すると「イグニッションコイル4本のうち、どれかが寿命を迎えた」→「4気筒のうち1部の気筒が動かないからバランス良くエンジンの振動を打ち消せなくなる」→「エンジンの振動がとても大きくなり車体を揺らす。パワーも出ない」という状況にピッタリだった。
元々Amazonのお気に入りリストにはイグニッションコイル交換系の関連パーツも登録して目星を付けていたこともあって、これはついにDIYの出番だ!と今回挑戦することになり、その結果、記事にするに至ったというわけだ。
イグニッションコイル交換|確定した寿命のサインはない

さて通常自動車のイグニッションコイルの寿命(替え時)は以下のように言われる。
ただハッキリと目で見てわかるサインや前兆がない部品らしく、今回の筆者のように突然死して驚かされるわけだ。
他にも症状で判断する要素がいろいろあるみたいだが…
- エンジンがかかりにくい
- アイドリングが不安定
- 加速がスムーズでない
この辺はイグニッションコイル以外の原因でも起き得ることなんで、アテにはならなそう。
今回のトラブルが起きたときの走行距離が102,740km。前オーナーの残した整備記録を見る限りだとイグニッションコイルもプラグの交換履歴も見当たらない。
10万kmを超えたところで換えておくのが無難だったようだ。
イグニッションコイル交換|スパークプラグも同時交換がベター

イグニッションコイルの先端にはスパークプラグが付いており、このプラグから出る火花がシリンダー内の着火を担っているわけだが、こちらも消耗品だ。
誰の見解を見ても聞いても「プラグを変えたばかりでないなら、イグニッションコイルとプラグの交換はセットでするのがおススメ」とある。
この交換作業の後日、別件でホンダディーラーの整備士さんと話したときには「コイルとプラグのどちらかだけ換えると通電が良くなり、それがトリガーになって換えなかった方もお亡くなりなることが多い」と経験談を教えてもらった。まぁそりゃそうだよなという話。
筆者が購入したときの走行距離が84,000km、そして今回のトラブルが102,740Kmだったので、ちょうど換えどきだったと言えるだろう。
一般的な片貴金属のイリジウムプラグの交換目安
・普通自動車15,000km~20,000km
・軽自動車7,000km~10,000km
イグニッションコイル交換|DIYに必要な道具

ではイグニッションコイルとスパークプラグの交換にはどんな道具が必要になるのか。
今回筆者が使った道具と購入したパーツの出どころを紹介する。難易度は低い作業なので自分でDIYに挑戦する人は参考にしてほしい。
1.プラグソケット

スパークプラグを外すための必須工具。
奥深いところに取り付けられているプラグを外すために必要な機能がすべて盛り込まれているタイプを使った。
スパークプラグの交換に求められること
・深いプラグホールの穴底にあるプラグ本体に届くこと
・ソケット内部のマグネットにより、外すときも付けるときもプラグを落とさない

スパークプラグは白い部分が陶器で出来ているので作業中に落下させると割れてしまう。また落下の衝撃で電極が曲がって安定して火花が飛ばなくなるケースもある。そのためマグネット付きがマスト。
2.エクステンションバー

ラチェットレンチやスピンナーハンドルを延長するために使用。
エンジンの種類にもよるだろうが、プラグ本体はエンジンヘッドカバー内の奥まったところにあるため、写真のようにプラグソケット→エクステンションバー→スピンナーハンドルと長さを延長しないとプラグ自体に届かないのだ。
3.エアダスター

ホコリや小さな砂利を吹き飛ばすために使用。
エアツールを持っていれば、エアブローガンなんかでブシャーと風を出せるが、持っていない筆者は代用品としてこのエアブローできるスプレー缶で代用した。これで全然問題ない。
イグニッションコイル付近には溜まったホコリや小さな石粒があり、これがプラグホールに中に落ちようものなら燃焼室に入り込み→シリンダー内部をキズつけ、エンジンに大ダメージ。
取返しのつかないダメージなので必ずエアブローできるようにして作業しよう。
4.※ディープソケット

CL7アコードユーロRではプラグカバーやイグニッションコイルのナットを外すために必要。
プラグカバーにせよ、イグニッションコイル本体にせよ、場所によって固定しているボルトやナットが違うので、メガネレンチや浅いソケットだけでは外せない。
自分の車で必要かどうかは「プラグカバー外すだけ」「イグニッションコイルを外そうとするだけ」の段階でも判別できるので、新たに購入する前にこの2つの作業を試してみるといいだろう。
5.ダイレクトイグニッションコイル(NGK)

NGKこと日本特殊陶業の品番「U5164」を使用した。
他にもHITACHI、自動車メーカー各社純正品などが手に入るが、友人知人馴染みの整備士さん等の意見を参考にしてNGKをチョイス。
こちとら安全に動いてくれればそれでいいのだ。
6.スパークプラグ(NGK)

こちらもNGKのイリジウムプラグ_品番がBKR7EIX-11PS (1175)を使用した。
なんだかんだで1番信頼と実績があるメーカーだと思う。
イグニッションコイル交換|DIY作業の手順
ではいよいよ作業に取り掛かる。
「車種名_イグニッションコイル交換」などで検索すればみ〇カラなどでいくらでも作業方法は出てくる。

筆者にとっては初めての作業だったので、慎重を期す意味も含め「手順をすべて記入したクリップボード」を見ながら順番に作業していくことにした。作業の漏れが防げるので不安な方はマネしてみて欲しい。
バッテリーのマイナス端子を外す

常時電源ではないから必須で外す必要もない気がする。
心配症なので外す筆者とショートを恐れて軍手を被されるマイナス側のケーブルの図。
プラグカバーを外す

10㎜のナット/ボルトを4ヵ所外すだけ。
場所によってボルトの箇所とナットの箇所がある。紛失しないようにマグネットトレーなどに保管しておこう。
カバー内部をエアダスターで清掃する

イグニッションコイル本体を外す前に清掃。
小さな砂利や枯れ葉、息絶えた虫などが溜まっている。これがプラグホールに落ち、シリンダー内に入ると大問題なので念入りにやっておこう。
イグニッションコイルのボルトを外す

イグニッションコイル本体は10mmボルト一ヵ所で止まっているだけだ。
だがご覧のように狭い空間で、奥のボルトのようにボルト部分が突き出ているタイプだったのでディープソケットがここでも必要だった。
古いイグニッションコイルを外す

まずコイル本体を少しだけ持ち上げる。そうするとカプラーが外しやすくなる。

カプラーを外せたらコイルを上に引き抜くだけだ。

コイルも固着のせいか外しにくかったので、バールのような工具を使いテコの原理で持ち上げ。

4本すべて外して別の場所に保管。プラグだけ交換時など再利用する場合は1~4で番号管理した方が良いそうだ。
プラグホール内をエアダスターで清掃する

エアダスターでプラグホール内を清掃する。
1つ目のホールから早速小さな砂利が吹き出してきて目に入るアクシデント。眼鏡した方が良さそうね。
古いプラグを取り外す

プラグソケット+エクステンションバー+スピンナーハンドルを連結して、古いプラグを外す。
ソケットがしっかりとプラグにかみ合ったことを確認してから、ゆっくりじわっと力を入れると問題なく外れてくれた。

少しだけジャリっとした感があったが、ネジ山の汚れなんかがシリンダー内に落ちないこと願ってゆっくり持ち上げてプラグを外した。
新しいプラグを取り付ける

古いプラグを外したら、すぐさま新しいプラグを取り付ける。
プラグソケットに新しいプラグをセットして、ゆっくりプラグホールに差し込んでいく。
ここでネジ山が舐めると大きなトラブルになるので、ゆっくり回してネジ山にかみ合った感触が来たら止まるところまで回していこう。
※プラグはひとつずつ交換
一気にすべてのプラグを外してしまうと、作業中に飛んできたゴミがプラグホール内に混入する恐れがある。
「ひとつ外したら取り付けて、ふたつめ外したら取り付けて…」の順番でプラグ交換していこう。
同じ手順で残りの3つのプラグを交換する

「焦らずゆっくり、ひとつずつじっくり作業すれば、ネジを舐めたりせず交換ができる」というDIYの諸先輩の言葉を胸に、ひとつずつ時間をかけて交換していこう。
新しいイグニッションコイルを取り付ける

先ほどと逆の手順で、少しだけ浮かせた状態でカプラーを取り付け→コイル本体を奥まで差し込む。
イグニッションコイルのボルトを取り付ける

4つすべてイグニッションコイルとカプラーを取り付けたらボルト止めする。
?のコイルだけなぜボルトが無いかって?

プラグカバーのナットと固着して一体化しちゃってるからです…。
まぁ問題なくコイルは取り付けできるので、下手に手を出してボルトが破損するよりはこのままで行くことにした。
プラグカバーを取り付ける

やってしまった!!!!!!
プラグカバーのボルト/ナットの4ヶ所取り付け中に、勢い余って端のボルトをねじ切ってしまった。。。ボルトを掴めるだけの部分も皆無だ。
ホンダディーラー整備士さん曰く「下手にドリルとかで取り出そうとして、エンジンヘッドカバー側にダメージいくこと考えたらこのままにしておくのが良いと思いますよ。走行には支障ないんで…苦笑」。
皆さんは優しくボルト締めてください…。
バッテリーのマイナス端子を取り付ける

バッテリーのマイナス端子を外したのであれば戻して取り付ける。
エンジンをかけて動作確認
エンジンをかけてみて普段通りの音になれば問題なし。
「キュキュキュ、ボウゥンッ!ドドドドド…」と普段通りのK20Aエンジン音だ。良かった。

最後の最後のひと作業でボルトをねじ切るというアクシデントを発生させてしまった筆者。
皆さんは最後まで気を抜かずに丁寧に作業を心掛けて欲しい。
イグニッションコイル交換|完全に寿命が尽きる前の交換がおすすめ
今回筆者は冒頭のドコドコ音を発生させながらも、そろりそろりと低速運転で帰宅することができたが、これが旅先や遠方に行っているときだったらと思うとゾッとする。
イグニッションコイルもプラグも予兆なく突然死する部品であるので、交換目安を迎えているならば換えておいた方が気兼ねなく日々のカーライフが送れるだろう。
あなたの車もイグニッションコイルとスパークプラグの寿命を改めて計算してみてはいかがでしょうか?
ダイレクトイグニッションコイルの交換目安
・走行距離が10万km~15万km
・使用年数が10年
一般的な片貴金属のイリジウムプラグの交換目安
・普通自動車15,000km~20,000km
・軽自動車7,000km~10,000km
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